スポーツ茶論

三塁手と遊撃手の境界線はあるか 北川信行

「野球を始めるときに、楽しければいいねん、というノリでチームを選ぶ子供や親が多い。誰でも楽しく野球をしたいでしょう。でも、(米大リーグで活躍する)大谷翔平君やイチローの言う『楽しい』は意味合いが違うんですよ。彼らの楽しいは、努力して達成する楽しさ。達成できていないことに挑戦しよう、自分を極めようという楽しさなんです。そこが混同されている。仕事でも共通しています。楽しいだけでは、成果は得られないじゃないですか」

その上で、奥村さんは「本当の本質。野球を通じてどういうものを身に付け、学んでいくのかということを忘れてほしくない。(少年野球の経験を)楽しくプレーできたらいいという、それだけのものに終わらせてほしくないんです」と強調した。

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では、どうやったら大谷選手やイチローさんと同じ「達成する楽しさ」「挑戦する楽しさ」を理解してもらえるのか。ポイントは、目標設定にある。「夢は高く、目標は手の届くところで」というのが、奥村さんの考え方だ。

もうひとつ、「野球」と「仕事」の話を紹介したい。三遊間に飛んだ打球を誰が処理するか-がテーマ。

「三塁手が捕れなかったら、遊撃手がカバーする。遊撃手も捕球できなければ、左翼手がバックアップする。仕事もそう。役割は決まっているけど、役割の境界線ってないだろ。三塁手と遊撃手の境界線ってあるか。ないやろ。仕事もそう。誰かができなかったら、会社がいい方向に向かうために助け合うんや」

経営者向けの講演会で参加者から聞いた話を奥村さんは、少年野球の子供たちに「こういうことを身に付けよう」と教えているのだという。ぜひとも「楽しさ」の違いが分かる大人に育ててほしい。

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