町中に心肺停止SOSボタンを設置 大阪で実証実験へ 

 突然心肺が停止して倒れた人を、自動体外式除細動器(AED)によって助ける仕組みを街ぐるみで作ろうと、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、国循)などが3月上旬から実証実験を始める。救命率を向上させるのが狙いで、国循では大阪・関西万博など国内で開催を控える大規模イベントなどにも生かしたい考えだ。(吉国在)

 実験は、同市と摂津市にまたがる「北大阪健康医療都市」(愛称・健都)で行う。国循は医療機器大手フィリップス・ジャパンと提携し、隣接するJR岸辺駅(吹田市)周辺の東西約500メートルの範囲に、AED5台と、小型のSOSボタン16個を設置。心停止の現場を目撃した人がボタンを押せば、事前に登録していた人のスマートフォンのアプリに、ボタンが押された場所とAEDの位置が示される。近くにいる人がAEDを持って迅速に現場へ救助に向かい、救命活動にあたる仕組みだ。

 今年1月には、国循の職員や近隣の商業施設の従業員、大学生らを対象にAEDの使い方やボタンの位置などを教える救命講習をスタート。参加者にはアプリを登録してもらい、実証実験への参加を促している。講習を継続して行うことで、AEDを使える登録者を増やしていくという。

 日本救急医療財団によると、心筋梗塞や不整脈による心停止の救命にはAEDが有効で、倒れてから5分以内に使用することが推奨されている一方、使用が1分遅れるごとに救命率は10%ずつ低下するとされる。

 日本では救急隊が119番通報を受けてから到着するまでの平均時間が8~9分。市民が居合わせた状況で起きた心停止のうちAEDが使われたのはわずか5%程度に過ぎず、医療関係者からは、救急隊が到着するまでに、居合わせた人が適切な対応をして、救命率を高める必要があると指摘されてきた。

 国循心臓血管内科の田原良雄医長は「この取り組みを機に街中でAEDがどれだけ使われるようになるか確かめたい」とし、「こうした仕組みを、東京五輪や大阪・関西万博のような大規模イベントでも活用してもらえれば」と話している。