話の肖像画

元郵政相・八代英太(82)(12)途上国選手の雄姿をパラで

八代英太氏(納冨康撮影)
八代英太氏(納冨康撮影)

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<政界を離れてからも、国内外の障害者支援の活動に力を入れている。現在は特にラオスへの支援を中心に活動している>

いろんな国の障害者は虐げられ、非常に差別されていて、特にアジアはそういう意味では障害者問題ということが世界のどの地域よりも立ち遅れていました。僕らも欧米先進国に追いつけ、追い越せという思いを持っていたのですが、振り返ってみればアジアが遠くなっていたわけです。僕が国会議員をしていたときに、ラオスの閣僚が訪ねてきて、障害者の問題が置き去りになっているという話を聞きました。日本型の福祉をラオスに注入してもらいたいという強い要請がありました。そこで、2年ぐらい支援活動をしましたが、2年たつとまだだめだと思い、活動を続け、二十数年がたちました。障害のある人たちを集め、スポーツと就労をテーマに教育を徹底的にやってきたんです。今はもう、ラオスはアジア大会でメダルを取る選手も生まれ、バスケットボールや水泳も強くなり、今年のパラリンピック東京大会にも何種目かの選手がエントリーしています。

〈今夏、東京で開かれるパラリンピックには、特別な思いを持つ〉

「オリパラ」という表現を使うように、五輪とパラリンピックは一体的なものだという感じになっていますが、パラリンピックの周知はまだまだわずかだと思います。それと、最近のパラリンピック競技を見ていると、メダル第一主義になってきている。記録優先主義になってしまい、ある程度の一定の記録がないと出場ができないという現実がある。出場資格をとるために、いろんな国で記録会をやるんですが、ラオスのような貧しい国はそこまでいく旅費がないのです。われわれも負担がしきれないわけですから。記録会ができないという状況があって、非常にアジアの途上国は厳しい現状になっています。

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