当時は「福祉はカネがかかる」とマスコミや自民党からも言われていました。国会を改装するのに5億円ぐらいはかかると先行して報道した新聞もありました。そうすると「お前一人のために俺の税金を何億も使うのは許せない」などの電話も多くありました。「福祉にはカネがかかる」というイメージを僕が当選して作ってしまってはうまくない。そこで知恵という財源を使うことで、安上がりにできるということを実証したいと参院事務局に提言しました。
当時は車いす用のトイレがなく、和式が中心でした。参院事務局はトイレの個室を2つつぶして改装しようと考えていたようですが、それよりも今あるトイレをどう改装したら車いすでも使えるかと考えるのが、障害者の知恵という財産なんです。個室のドアを外し、アコーディオンカーテンにすれば、十分広くなる。周りに鉄パイプを取り付け、洋式にすれば立派な車いす用トイレになる。階段もスロープを作ると場所や費用もかかるけど、昇降機だったら場所も取らずに安上がりにできる。僕が使わないときは、職員が資料を運ぶのに利用すればいいのですから。そのような障害者となって学んできた知恵を参院事務局に説明しながら、少しずつ国会のバリアを取り除いていきました。(聞き手 今仲信博)