「走り方を変える発想の靴」…ナイキ厚底のメカニズム

抜き足差し足

 ただ、日本人ランナーに最も多かった、かかとから着地してつま先で地面を蹴る「ヒールストライク走法」にまで適応するかは不明。「着地すると、靴の傾斜に垂直に立てずに地球に垂直に立つ姿勢となる。これでは、着地時のブレーキが大きくなってしまう」と小田教授。国内の別メーカーの担当者は「今でも万人向けではないと考えている。うちが追従することはない」と言い切る。さらに、「靴の反発力に体がついていけないと、故障を生みかねない」と指摘する別のメーカーの関係者もいる。

 一方で小田教授は「つま先着地は、日本でいうところの『抜き足差し足』に似ている。忍者の音を立てない走り方もそう。日本人の遺伝子にもフォアフット走法はある」とも。ワールドアスレチックス(世界陸連)が示した見解により、ナイキの厚底ブームは終わるのか。成り行きが注目される。

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