大阪V松田支えた「非厚底」…高橋、野口も手がけた職人の三村さん

 「きつく感じる」。大阪国際直前の先月23日にはシューズを履いた松田選手から連絡があり、左右を2・5ミリ大きくしたシューズをすぐに作り直した。レース当日には足首が柔らかいことに気づき、「真っすぐ地面を蹴れるように」と考え、普段より1枚多い2枚のテーピングを足首に巻いて送り出した。

 そうした微調整も功を奏し、松田選手は東京五輪代表最後の1枠を争う「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)ファイナルチャレンジ」の設定記録(2時間22分22秒)を女子選手として初めて突破。三村さんは「マラソンはレース中に足の形も変わっていく。そうした状況の中でも常にフィットするシューズを作ることが私の仕事」と話す。

 三村さんが理想とするのは、選手が強度の高い練習を積んでも故障することなく、大会で記録を出すことができる安定したシューズだ。それだけに長距離界で主流となっているナイキ社の「厚底シューズ」についても「練習ができて、故障しなくて、良い結果が出るのであれば厚底でも非厚底でもどちらでもよい」と理解を示している。

 これまで10回以上にわたり五輪の開催地に赴き、選手の足元を現地で支えてきた。大阪国際では松田選手が東京五輪に大きく前進しただけに、三村さんも同じ舞台を見据えている。「選手もシューズもお互いステップアップして東京で世界に挑みたい」。靴職人の挑戦も続いていく。