iPS免疫細胞でがん治療 理研などが治験計画を千葉大に申請

iPS細胞から作製したNKT細胞(理化学研究所提供)
iPS細胞から作製したNKT細胞(理化学研究所提供)

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作製した免疫細胞をがん患者に移植し、がん細胞を攻撃させて治療する再生医療を目指す理化学研究所と千葉大の研究チームが、治験計画の審査を千葉大の委員会に申請したことが30日、分かった。最初の移植手術は夏ごろの実施を目標にしている。

 申請は29日に行った。治験の対象は、舌やのどなどにがんができる「頭頸部(けいぶ)がん」の患者で、症状が重い9~18人。がん細胞を攻撃し死滅させる働きを持つ「NKT細胞」と呼ばれる免疫細胞を健常者から採取し、iPS細胞を作製。再び分化させてNKT細胞を大量に作り、患部に移植する。

 1人当たりに移植する細胞数は、最初の3人は5000万個で、順調にいけば4人目以降は1億個に増やす。手術後、2年間にわたり治療の安全性や有効性、保健医療として適切かどうかなどを確かめる。

 がんの治療では、患者から採取したNKT細胞を体外で培養して増やし、体内に戻す方法もあるが、この細胞は少数しか存在しないため、培養に時間がかかる。iPS細胞を使えば大量に作製しておくことができる。頭頸部がんの国内患者は数万人。

 千葉大の委員会は2月中にも審査を実施。了承後、研究チームは国内の治験計画を審査する医薬品医療機器総合機構(PMDA)に治験届を提出し、許可されれば移植を行う。

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