楽天の三木谷浩史会長兼社長は29日に都内で開催した通販サイト「楽天市場」の出店者向けの会合で、3980円以上購入すると送料を出店者負担で無料にする方針について「3月18日に導入し、皆さんと一緒に成功させたい」と述べ、予定通り実施する考えを示した。「皆さんの流通総額が十数%上がると確信している」と効果の見通しについて語り、「ここが一つの分水嶺(ぶんすいれい)。ぜひ、前向きに捉えていただきたい」と呼びかけた。
送料無料化をめぐっては、一部出店者が独占禁止法違反にあたるとして公正取引委員会に調査を求めるなど強く反発している。三木谷氏は送料が原因で楽天市場での購入を諦めた顧客が7割いるという調査を示した上で、「現実から目を背けて一部の店舗が騒いでいるが、結局、顧客が買わなくなったら何の意味もない」と指摘した。
楽天は昨年8月に一つの店舗で3980円以上の商品を購入した場合、送料を一律無料にすると発表。同12月には今年3月18日に実施することを決めた。競合のアマゾンジャパンでは2千円以上の購入や会費制の「プライム会員」の送料を無料として売り上げを伸ばしており、これに対抗するのが狙いだ。
一方、出店者が加入する任意団体「楽天ユニオン」は1月22日に公取委に署名を提出し、出店者側の十分な同意を得ないまま、送料無料の制度を導入するのは独禁法で禁じる「優越的地位の乱用にあたる」と訴えた。これを受け、公取委も出店者への事情聴取を始めている。
三木谷氏は29日にツイッターを更新し、「公取やマスコミにリークをして、けん制をかけるやり方はあまりに時代錯誤でひどすぎる」と、反発する出店者を痛烈に批判した。