浪速風

相撲は驕(おご)りをたしなめるために始まった

数字づくめの歴史的優勝だった。大相撲初場所で史上2度目の幕尻優勝した西前頭17枚目(幕内最下位=幕尻)の徳勝龍は33歳5カ月。日本出身力士では最年長初優勝である。1年前に引退した横綱稀勢の里と同い年という遅咲きで、奈良県出身力士としては98年ぶり2度目の優勝だ

▶奈良県(桜井市)には相撲発祥の地とされる相撲神社がある。この地で当麻蹶速(たぎまのけはや)と野見宿禰(のみのすくね)に日本初の相撲を取らせたのは11代垂仁天皇。日本に自分ほどの怪力はいないと豪語する蹶速に、出雲国から召し出した宿禰を当てた。宿禰は蹶速を一蹴し、天皇から領地をもらった 

▶先々週の当欄で荒技を恥じない横綱白鵬を批判すると、大阪市東住吉区の女性からはがきをもらった。〈白鵬の相撲を見るのが嫌で終了15分くらい前にテレビを消します〉。徳勝龍の相撲には張り手もひじ打ちばりのかち上げもなかった。相撲は驕(おご)りをたしなめるために始まったことを知っておきたい。