「5Gの電波」は人体に悪影響がある? 専門家が出した結論

熱関連の影響に対応するため、FCCやその他の規制当局は、無線機器が放出できるエネルギー量に制限を設けた。「体温は自分自身の活動により常に1℃ほど上下しているので、1℃以内の温度上昇を心配する必要はないというのが一般的な見解です。これは細胞レベルでも同じ話です」と、デモットは言う。

携帯電話の使用と、がんをはじめとする健康問題を関連づける決定的な証拠は見つかっていない。それでも不安が払拭されないのは、関連がないとする決定的な研究結果もまた出ていないからだ。

5Gなどのワイヤレス技術に批判的な立場の人の多くは、2011年にWHOの国際がん研究機関が、携帯電話を「発がん性が疑われる」と位置づけたことを指摘する。とはいえ、これはコーヒーや漬物と同じ位置づけであり、携帯電話もそこに分類されたのは、それに先立つ2010年の研究で携帯電話による発がんのリスクの有無が確認できなかったからだ。

WHOのウェブサイトに掲載されている2002年付のファクトシートは、さらに楽観的だった。

「過去30年間で、非電離放射線の生物的影響および医学的応用の分野において、約25%2C000本の論文が発表された。WHOは最近実施した科学文献の精査に基づき、最新の知見によれば低レベルの電磁場曝露による健康への影響は認められない、と結論づける。ただし、生物的影響についてはまだ知られていない部分があり、更なる研究を要す」

発がん性を訴える研究は「外れ値」

非電離放射線には熱以外に健康リスクは存在しないというのが学会のコンセンサスだが、これと対立する独自研究も、当然だが存在する。

米国国家毒性プログラムが昨年発表した研究によると、低周波電波に曝露したオスのラットには、がんリスクの上昇が認められたという。しかしこのレポートでは、メスのラットや、オス・メスのマウスについては同様のリスクが認められなかった。

同プログラムの研究者によると、オスのラットから見つかった腫瘍は、携帯電話のヘビーユーザーに対する先行研究で見られたものに類似していたという。ただし、ラットの結果を人間に当てはめるべきではないとの留保をつけている。

スワンソンは、こうした外れ値的な結果は想定の範囲内だと言う。同じ研究を何万回も実施すれば、そのうち数百件では単なる偶然により、がんやその他の健康問題の発生率が高く報告されると予想できる。またそれに加えて、質の悪い研究も多く存在する。こうしたことが重なり、批判者にとっての格好の材料になるのだと言う。

それでも携帯電話の使用で腫瘍ができないかと心配しているなら、これを聞いて安心してほしい。米国国立がん研究所が発表した統計情報によると、米国における脳腫瘍の発病率は、携帯電話が爆発的に普及した1992年~2016年にかけて、実は減少しているという。

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