鹿島、工事請負会社に就職のミャンマー人に研修 帰国後担い手に

 ゼネコン大手の鹿島は24日までに、同社の工事を請け負う協力会社に就職するミャンマー人に、来日前に現地で安全教育などを実施し、毎年100人規模を協力会社へ派遣する方針を明らかにした。人手不足対策の一環で、建設大手では初の試みとみられる。鹿島は海外での大型開発案件も多い。日本で働いた外国人技能者らがノウハウを身につけ帰国すれば、それらの国々で受注する工事の担い手になるとの期待もある。

 今年4月から試験的に始め、来年以降の定期化を目指す。

 受け入れ対象者はミャンマーの20代を中心とした若者たちで、書類選考や研修などを経て来日する。現地の研修では、工事現場での安全知識を身に着けるほか、作業を行う「足場」など、建設現場で使われる日本語や専門用語などを半年かけて学ぶ。鹿島はミャンマーでの建設、開発事業で実績があり、同国との関係が深い。

 押味至一社長は、団塊の世代(昭和22~24年生まれ)が大量に辞める時機を見据え、「今のうちに手を打っておかないと本当に担い手不足になる」と指摘。外国人労働者について「われわれが中心となって安全教育などをした上で協力会社に受け入れてもらう」との考えだ。

 国土交通省は、ゼネコン大手が工事請負業者に就職する外国人労働者に対し、現地で来日前に研修教育を実施する取り組みは「業界でも珍しい」と、鹿島の取り組みに注目する。

 一方、近年は失踪する外国人技能実習生が後を絶たず、建設業界でも深刻な状況だ。国交省が法務省のデータなどを基に作成した資料によると、平成29年の外国人技能実習生の失踪者数は建設業が2582人で、各種業界のうち最多となる36%に上った。

 この問題をめぐり国交省は昨年12月、ガイドライン(指針)を改正し、建設大手などに通知した。在留資格「特定技能」で来日した建設業に就く外国人労働者を対象に、就労場所や期間、在留資格の確認などを指針に加えた。鹿島も書類審査や在留資格の確認などを徹底することで失踪や不法就労への懸念を払拭する考えだ。

 建設業界に詳しい日本総研理事の山田英司氏によると、建設現場で働くよりも待遇が良い職場を見つけ逃げ出すケースがあるという。一方、雇用側は「教育には日本人高卒技能者と比べ1・5倍から2倍くらい費用がかかる」と、待遇改善の難しさを指摘する。

 ゼネコンが教育を実施することで、協力会社の負担やコストは低減される。一方、ゼネコン側には、技能を習得した外国人材が海外案件の受注で「日本品質の工事をするための重要なリソース(資源)になる」(山田氏)とのメリットが見込まれるという。