東京都江戸川区にゆかりのある国際アンデルセン賞作家、角野栄子さんの世界観にふれられる「江戸川区角野栄子児童文学館」(仮称)の設計チームに、建築家の隈研吾(くま・けんご)さんの事務所などが選ばれた。隈さんは15日、同区役所を訪れ、角野さんや斉藤猛区長と会談。「自然や風の匂いを感じられる文学館にしたい」と話した。今後も意見を交わしながら設計の詳細を固め、令和3年4月以降に着工する。
(松崎翼)
区は文学館の建設にあたり、建築、造園、展示の各分野を一括で設計者を募集。4チームから応募があり、今年の東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる国立競技場の設計で知られる隈研吾建築都市設計事務所を含むチームが選ばれた。角野さんの作品の世界観と合っていたことや、自然に溶け込むデザインが決め手になったという。総工費は約13億円で、設計費は約1億2千万円。
児童文学館は、同区南葛西のなぎさ公園内に建設され、令和4年度に開館予定。「魔女の宅急便」などの作品で知られ、一昨年に「児童文学のノーベル賞」と呼ばれる国際アンデルセン賞の作家賞を受賞した角野さんの作品や、功績に関する資料を展示する。
基本構想では、「魔女の宅急便」に登場する「コリコ」の町の雰囲気をイメージしたスペースを整備するほか、デジタルコンテンツなどを活用して、角野さんの世界観を表現する施設にするとしている。
隈さんは「角野先生の大ファンなのでとても楽しみ。先生の好きな素材や色を聞いて、世界観を体験できるようにする」と意気込んだ。角野さんは「子供が面白いものは、大人も楽しめる。記憶に残る場所にしたい」と強調。斉藤区長は「角野さんの偉大な功績を隈さんが具現化してくれる」と期待を膨らませた。