主張

成人の日 あなたが新時代の主役だ

 令和となって最初の成人の日である。新成人となった皆さんのこれからの人生に幸多かれと、願ってやまない。

 新元号の出典となって話題を呼んだ「万葉集」から、皆さんに味わってほしい歌がある。

 「父母(ちちはは)が頭(かしら)かき撫(な)で幸(さく)あれて言ひし言葉(けとば)ぜ忘れかねつる」

 巻第二十に収められた防人(さきもり)の歌である。防人に、また父母に限らない。だれしも育ててくれた人がいる。成長した皆さんの今後の幸せを祈っているだろう。まずそんな人たちに感謝したい。

 仕事でも学業でもいい。それぞれの分野で頑張り、社会に尽くす大人になってほしい。それが、いつくしんでくれた人の恩に報いることにもなる。

 日本の将来に不安もあろう。少子高齢化が進んでいる。厚生労働省の推計では、昨年の出生数は明治32年の統計開始以来、初めて90万人を割る見通しとなった。昭和24年に比べ3分の1以下である。今年元日時点での新成人は総務省の推計で122万人と、前年より3万人減った。

 一方で高齢者人口は2040年代初頭まで増加傾向が続く。政府は全世代型社会保障改革を進めているが、医療や年金は大丈夫か、不安を抱く人も多いだろう。

 それだけではない。災害が多発し、安全保障上の脅威もなくなっていない。日本が置かれた状況は厳しい。

 しかし悲観ばかりしてはいられない。今回の新成人だけでなく若い世代には、逆風を吹き飛ばす力をこそ見せてほしい。

 東京五輪の年である。若い力の躍動が見られよう。晴れ舞台に立てなくてもいい。白血病と闘っている競泳女子の池江璃花子選手は「コツコツと頑張っていきたい」と今年の抱負をつづった。すでに十分頑張っている彼女に、多くの人が声援を送ってきた。

 スポーツに限らない。どんな分野でも、ひたむきな若者の姿は社会に力を与える。特に新成人の皆さんには、大人としての自覚と責任感を持って、挑戦を続けてほしい。令和という新時代を切り開いていく主役は、皆さんだ。

 高齢世代も共に頑張りたい。社会保障改革の一環として雇用制度の改革も行われる。70歳まで企業で働くことが現実味を帯びてきている。元気な間は働き、若い世代の負担を少しでも減らしたい。

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