令和2年の幕が開き、天皇、皇后両陛下や皇族方は新年の宮中行事に臨むなど、お忙しい日々を過ごされた。
天皇陛下は1日、夜明け前から宮中祭祀に取り組まれた。午前5時半から皇居・宮中三殿に付属する神嘉殿(しんかでん)の前庭で、即位後初めてとなる「四方拝(しほうはい)」に臨み、皇祖神の天照大神(あまてらすおおみかみ)をまつる伊勢神宮、歴代天皇の眠る山陵(さんりょう)、四方の神々に向かってご拝礼。国と国民の安寧と五穀豊穣(ごこくほうじょう)を祈願された。続いて宮中三殿で「歳旦祭(さいたんさい)」に臨み、神々に国民の加護を祈られた。
この日、皇居・宮殿では午前から「新年祝賀の儀」が行われた。まず「松の間」で、秋篠宮ご夫妻をはじめとする皇族方が両陛下にごあいさつ。その後、両陛下は皇族方と宮殿の各部屋を回り、安倍晋三首相、衆参両院議長、最高裁長官らから祝賀を受けられた。衆参両院議長のあいさつに陛下は「年頭にあたり、国民の幸せと国の発展を祈ります」と述べられた。午後には120以上の国と機関の駐日大使らも宮殿を訪れ、両陛下にあいさつした。療養中の皇后さまがこの行事に出席されたのは平成15年以来となった。
2日には新年恒例の一般参賀が皇居で行われ、6万8710人が訪れた。両陛下と皇族方は宮殿「長和殿(ちょうわでん)」のベランダで集まった人々に応えられた。この日は多くの人が開門前までに列をなしたため、宮内庁は午前9時半予定の開門を20分早めて対応した。
午前10時10分からの1回目の参賀では、陛下が昨年の台風や大雨による被災者を案じ「本年が災害のない安らかで良い年となるよう願っております。年のはじめに当たり、わが国と世界の人々の幸せを祈ります」とあいさつをされた。
計5回行われた参賀のうち、午前中の1~3回目には上皇ご夫妻もお出ましになった。譲位後、すべての公務を陛下に引き継がれた上皇さま。代替わり後、陛下とともに公の場で国民に姿を見せられる初めての機会となった。昨年6月に白内障の手術を受けた上皇后さまはサングラスを着用し、穏やかな表情で手を振られていた。