【令和2年 ここにチュー目】(2)インフラ整備に民間資金活用を - 産経ニュース

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令和2年 ここにチュー目

(2)インフラ整備に民間資金活用を

九州経済同友会の貫正義代表委員
九州経済同友会の貫正義代表委員

 ■SNS使い海外に観光情報

 □九州経済同友会・貫正義代表委員(74)

 昨年の話題といえば、何といっても新元号「令和」でしょう。(典拠となった万葉集の一節)「梅花の宴」が開かれた場所とされる福岡県太宰府市が脚光を浴びた。さながら福岡が日本の中心であり、令和という時代が福岡の時代であるように感じた。

 また、(天皇陛下が即位を国内外に宣明される)「即位礼正殿の儀」に、世界各国から首脳が来日されたことも印象深かった。日本の歴史や価値に敬意を表してくださった。

 このところ日本の経済力や国際的地位の相対的な低下が悩ましく、国民は自信を失いかけていた。そんな中、陛下の存在は非常に力になるものだと実感した。

 ◆九州新幹線特区

 ところで九州新幹線長崎ルートが危機ですね。

 新幹線は地方創生の基本的なインフラだ。(大分、宮崎方面への)東回りを含めて九州には絶対必要ですよ。長崎ルートは何とかなるでしょうが、東回りは現状の建設スキームではとてもできないでしょう。

 必要なインフラ整備に国の予算だけでなく、民間資金を使うような新しい仕組みが必要だ。例えば再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)はどうでしたか。再エネ賦課金によって地域社会から(太陽光発電事業者に)カネが流出するという問題はあるが、とにかく利益が上がるとなればわっと投資が集まったのは事実です。

 私の出身、九州電力は海外に盛んに投資しています。JR九州さんだってマンションや都市開発に多額の資金を投じている。総合商社も海外に幅広く展開されている。企業は投資をする力はあるんです。

 もちろん、利益が上がることが前提です。そうでなければ、外国人を含む株主には認めてもらえない。取締役会だって通らない。

 令和2年度の税制改正大綱では、第5世代(5G)移動通信システムの普及を目指し、設備投資する事業者への優遇制度が導入された。インフラ整備でも同じような仕組みはどうでしょうか。投資分の1割を法人税から減免するなど国がしっかりと評価すれば株主だって納得しますよ。

 さまざまな規制の問題もあるでしょう。投資をどう回収するか、インフラの所有権はどうなるのかといった課題も挙げればきりがない。一筋縄ではいかない。それでも「九州新幹線特区」などとしてやってみたらいい。同友会はそんな政策提言を追求してみる価値はあると思っている。

 ◆国内投資増に期待

 大切なことはいかに国内需要を増やすかだ。企業が蓄積してきた力を海外ではなく、国内で活用するにはどうすればいいかという発想です。対米貿易黒字が問題になっていた頃は、とにかく海外からモノを買え、輸出はするな、ということで黒字を消していった。それが結果的に日本の成長率を落とし、30年間、ほとんど経済的に成長できなかった。今やアメリカとの経済力は大きく差が開いた。アメリカの警戒心は中国に向いている。日本が今さら少しGDPを増やそうとしても、もう文句は言われないと思いますよ。国がどれだけ踏み込めるかでしょう。

 海外でなく、国内投資ができる環境作りという意味でインバウンド(訪日外国人客)関連と、スタートアップには期待しています。

 インバウンドによって海外からお金を落としてもらう。もうかるようになれば投資は呼び込める。国内外から多額の資金を引き込んでくるスタートアップ企業も同じです。

 幸い福岡、九州はインバウンドが伸び続けているし、スタートアップも決して他の地域に引けを取らない。この環境をどう生かすかでしょう。同友会としてもできることをやらなくてはいけない。

 観光だと昨年のラグビーワールドカップ(W杯)で欧米に九州をPRできた。

 今年の東京五輪効果が九州に波及するのは難しいだろうが、来年の世界水泳九州大会では190カ国・地域以上の選手や観客が福岡や熊本、鹿児島の3県を訪れる。ここ数年のPRがどう影響するか楽しみだ。

 より効果があげられるよう今、注目しているのはSNSを通じたPRです。観光情報をSNS上でとにかくどんどん打ち込む。日本の良さは知っているんでしょうが、九州でどこが良いのか、何が良いのかは知らないことが多い。

 ただ専用ホームページなど作っても、なかなか見てもらえない。それよりはアクセスが多いところに上げていく。制作の専門家は増えている。単に広告を出すよりもぱっと映像を撮って10秒なら10秒とプロモーション動画を作る。そして視聴回数などに応じて料金を払う。それほど高くない価格でやれるそうだ。同友会としてはそんな道筋を示す。九州の魅力を海外に広く知らしめるノウハウとして研究、発表することは可能だと思っている。

 ◆財界も若返りを

 昨年、福岡経済同友会の代表幹事も引き続き務めることが決まった。任期は令和3年までですが、もう年でしょう。九州経済同友会も含め財界にあんまり長居しても悪いな、とは思っている。自然体でいえば任期をもって引退するんでしょうか。次は一気に若返るほうがいいでしょうね。とはいえ、決断はまだ何もしていません。来年(の任期満了時)にどんな気持ちになっているかでしょう。他の代表幹事とも相談して決めますよ。(九州総局 中村雅和)

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【プロフィル】貫正義

 ぬき・まさよし 昭和20年1月、福岡県生まれ。九州大学経済学部を卒業後、43年に九州電力に入社、鹿児島支店長や副社長、会長を歴任し、平成30年6月から相談役。19年、福岡経済同友会に入会し、23年から代表幹事。26年6月から九州経済同友会代表委員となり、現在6期目。