山道23キロ荒行体験 大津・比叡山延暦寺「一日回峰行」人気

 天台宗総本山比叡山延暦寺(大津市)の荒行「千日回峰行」を体験できる「一日回峰行」が人気だ。約7年で地球1周分の距離を巡礼し、不眠不休で9日間お堂にこもる実際の過酷さには及ばないものの、僧侶に先導され約23キロの山道を歩く本格的な内容だ。脱落者も出るほどだが、体験を終えた人からは「生まれ変わったような気持ち」との声が上がる。

 一日回峰行は平成28年から始まり、春から秋の計5回開催される。1回の定員65人は募集開始後すぐ埋まることが多い。ルートは千日回峰行の序盤3年間の行程(1日30キロ)とほぼ同じで、山頂の宿坊「延暦寺会館」を起点に尾根伝いに北上し、東側に回り込んで麓へと下る。その後西に進み、再び会館に戻る。

 今年最終回の9月21、22日には20~70代の男女67人が参加した。21日夕に集合して説明を受け、精進料理の食事や仮眠を取って午前2時に出発。1列で先導の僧侶を追う。木の根が飛び出たり、ぬかるみがあったりするが、明かりは懐中電灯だけ。道中、仏の教えを意味する「真言」を唱え続けなければならない。

 夜が明けて午前6時半ごろ、麓の「律院」に着いた。千日回峰行を満行した叡南俊照大阿闍梨が出迎え「一つのことを続けるのが大事。回峰行も1日を積み重ねようやく千日となる」と声を掛けた。朝食後、崖のように急な斜面や階段ばかりのコースを駆け上る。会館前の広場で般若心経を唱えて終了となる。

 毎回1、2人が途中リタイアするが、この日は全員が完歩した。前橋市の自営業、尾身征則さん(45)は「すっきりした気分。行者は毎日1人でやっていると思うとすごい」と汗をぬぐった。延暦寺の小鴨覚俊教化部長は「宗教離れや仏教離れといわれるが、関心を持ってもらうきっかけになればうれしい」と話した。

 来年の「一日回峰行」は春ごろに寺のホームページ上で募集する。

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