お賽銭もキャッシュレス 防犯の利点、仏教界には警戒も

 賽銭ではないが、年間300万人が訪れる世界遺産・下鴨神社(京都市)も今年5月から、授与所でのキャッシュレス決済を導入した。クレジットカードや電子マネーを使い、お守りなどへの支払いができる。

 「(現金を持ち歩かない)外国人旅行者の要望やキャッシュレス化を進める政府の方針も踏まえて導入を判断した」(担当者)。現在、授与所でのキャッシュレス決済は、全体の1割程度を占めるという。

■「収益行為」?

 賽銭などのキャッシュレス化には否定的な意見もある。

 京都府内の約1千の寺院が加盟する「京都仏教会」。6月、宗教活動のキャッシュレス化は「不適切で受け入れない」とする声明文を発表した。

 同会は、賽銭や拝観などの宗教活動がキャッシュレス化すれば、参拝者や信者の行動や個人情報が第三者に把握されるリスクがあると指摘。また、手数料の発生により、これまで「宗教行為」とみなされていたものが「収益事業」とされ、課税される可能性も出るなどと訴えている。

 一方、売店などで扱うポストカードやお土産などのキャッシュレス化は容認した。担当者は「神道やキリスト教など他の宗教にも私たちの考えをお伝えした」と話す。

 帝塚山大文学部の岩井洋教授(宗教社会学)は「(キャッシュレス化が進み将来的に)宗教の財務状況が丸裸になることへの危惧があるのだと思う」と推測。その上で「まさにバランスの問題。キャッシュレスにしていい部分と、どうしても違和感がある部分を分けて議論するのも、一つの手だと考える」と述べた。

会員限定記事会員サービス詳細