大阪都構想 維新、揺れ動いた公明との距離

 「大阪都構想」の制度案の大枠が可決され、取材に応じる松井一郎大阪市長(左端)と吉村洋文大阪府知事(同2人目)=26日、大阪府庁
 「大阪都構想」の制度案の大枠が可決され、取材に応じる松井一郎大阪市長(左端)と吉村洋文大阪府知事(同2人目)=26日、大阪府庁

 大阪都構想の基本方針が26日、大阪維新の会と公明党により了承された。都構想をめぐる両党の交渉が決裂し、大阪府知事・大阪市長のダブル選になだれ込んだのが今年の春。維新大勝の結果は法定協議会の風景を一変させ、公明は反対から賛成へと百八十度の転回を見せた。選挙を挟み6月に再開された法定協では、維新と公明が主要論点を次々とさばき、同じ年のうちに制度の骨格までまとめ上げた。対立から連立へ、維新と公明の距離に揺れ動いた1年となった。

 「いい雰囲気でした」。今月20日夜、大阪市内の料亭前。公明幹部と会談した維新代表の松井一郎大阪市長は、出待ちの報道陣に一言感想を述べ、軽やかにその場を後にした。出席した公明府本部の土岐恭生(やすお)幹事長も「非常に円満、終始和やかに意見交換した」と上機嫌だった。

 維新と公明が、住民投票の実施時期をめぐって対立し、松井氏が出直しダブル選に言及して会食の席を立ったのがちょうど1年前。それから紆余曲折を経た両党はこの日、来年11月上旬に2度目の住民投票を行うスケジュールについて意見を交わした。

 維新にとって次の投票は可決が絶対条件だ。もう一度、看板政策が否決されれば党の存続にかかわる。公明に譲れるところは譲り、都構想が党派を超えた政策であることを印象づけたい狙いがあった。

 基本方針の採決という手続きを踏んだのも、次の住民投票をにらみ、推進運動を展開していく布石だといえる。維新代表代行の吉村洋文府知事は「基本的な方向性を確認するのは当然。反対派は巻き戻し議論ばかりする」と語り、協議の蒸し返しを防ぎたい意図をのぞかせた。

 公明の協力は単純に集票面でも大きい。「公明に配慮するのは、可決を見据えてのことでもある」と維新幹部。前回否決されたときの約1万票という僅差は、手堅い組織票を持つ公明の支持基盤を加味すれば十分にひっくり返せる数字だ。松井氏は来春以降の市民向け説明会などを見据え、公明と連携して活動したい考えも示した。

 ただ公明の議員や支持者の中には、昨年末以来の維新との対立のしこりをいまだ抱えている人もいる。ある公明関係者は「党としては賛成だが、支持母体が積極的な賛成運動をするかは未知数だ」と話した。

 公明府本部の佐藤茂樹代表は次の住民投票について「基本的に賛成の方向で進めたい」と述べたが、維新と連携した活動には「執行部でしっかり相談したい」と述べるにとどめた。