上皇さまは23日、86歳の誕生日を迎えられた。在位中は誕生日に当たり、記者会見が行われてきたが、譲位後はなくなり、宮内庁がご近況を明らかにした。健康面ではご体調に変化はなく、来年3月末までに行う高輪皇族邸への引っ越しを前に、上皇后さまと穏やかな日々を過ごされている。
宮内庁によると、上皇さまは譲位後、天皇陛下のご即位関連行事を静かに見守り、すべての行事が滞りなく終了したことに安堵(あんど)し、喜ばれているという。
秋には台風19号をはじめとする災害が相次いだが、上皇さまは在位中と同様、被災状況を伝える報道を注視し、現在も避難生活を送る人々がいることに、心を痛められている。
宮内庁は、上皇さまが公務から退かれたことで、私的な時間が増えていると説明。引っ越しの準備を進めながら、上皇后さまとお茶をともにしたり、日本各地の祭りや風景などを紹介するテレビ番組を見たりされている。
宮内庁は23日、上皇さまのお誕生日行事を、主にお住まいの吹上仙洞(せんとう)御所で実施する。各国の外交使節団の長らは招かないなど、在位中より規模を縮小して行う。
「二重権威」にご配慮、研究の時間充実
上皇さまは、4月30日の譲位後は、天皇陛下と並び立つ「二重権威」とならないように気遣い、新たな皇室を見守る立場に徹してこられた。公務を退いた今は魚類分類学の研究やチェロのレッスンなど、充実した日々を送られている。
「天皇、皇后両陛下や秋篠宮さまのなさりように、一切意見は言わず、質問もされない。『二重権威』ということに、格別に配慮をされておられる」。宮内庁元幹部は上皇さまのご姿勢をそう語る。