朝晴れエッセー

かたくり・12月22日

昨日の夕食にグラタンを作った。

片栗粉を使う方法を近所のご婦人がくださった、スーパーの料理レシピ冊子で見つけたもので、ブロッコリーを多めに入れたのが気に入らない夫は、それでもほとんどを食べ、私はその出来に大満足した。

20数年ぶりに専業主婦となって1年。何かと頼りにしていた、市販の合わせ調味料を使わずに料理するよう心がけてみると、唐揚げに八宝菜、酢豚など、片栗粉の出番は意外に多い。

スーパーで若い人が片栗粉を手に取るのをみると、手作りしてエライなと思ったりしている。

片栗粉をよく使うようになって、ふと思い出したことがある。

子どもの頃、熱を出したりお腹の調子が悪くて食事を取れなかったときには、母が「かたくり」を作ってくれた。

少しの水で溶かした片栗粉に、熱湯と砂糖を入れてとろとろにしたもので、当時の私は、片栗粉はそのために家にあると思っていた。

高熱のときは、スプーンにのせた「かたくり」を、母がふうふう冷ましながら、食べさせてくれた。しんどいけれど、家事に仕事や農作業と忙しい母を、姉や妹から独占してうれしかった。

90歳になり、広島の施設に暮らす母は、口に入れるものにはとろみをつけてもらっている。

今度は私が母に食べさせてあげる番になり、なるべく早く行きたいけれど、片栗粉の袋を見て思い出したことを、まずは手紙に書いて知らせよう。

前田輝美 62 大阪府岸和田市