朝晴れエッセー

11月月間賞は大阪・佐竹加織さんの『健康のバロメーター』

 ■娘の彼氏が我が家にやって来た 大東恒夫 65 大阪府枚方市

 「お父さんの休みの日を教えて」と、娘から電話があった。彼氏を家に連れて来るとのこと。娘が、男性を我が家に連れて来るのは初めてである。娘は今年大学院を修了、就職して寮生活をしている。

 妻と息子は、既にその彼氏さんと二度会っていたが、私は仕事を理由に会っていなかった。何をしに来るのか気になったが、あえて娘には聞かなかった。ふと、32年前のことを思い出した。

 32年前、私が妻の家を初めて訪れ、妻の家族と食事しながら、結婚を前提に、と話そうと思っていたのだ。ところが義父に「2人だけで外でお酒でも飲もう」と誘われ、妻の実家から4キロほど離れた居酒屋まで、街中を45分ほど徒歩で行った。ふぐ料理とお酒をごちそうになったが、緊張で、ふぐのおいしさは分からず、お酒も全然酔わず、しかし、自分の気持ちはしっかりと、話せたのを憶えている。

 当日は娘に恥をかかせないよう、家の掃除を念入りに行い、昼食は出前のおすし、ビールは本物を用意し、2人は昼前に来た。

 昼食を食べながら、彼氏さんの仕事、ご両親のことなどを事情聴取のように聞いたが、彼氏さんからの特別な話は聞けなかった。

 2人は3時間ほどいたが、最後は我が家のペットのうさぎと遊んで、2人一緒に帰ってしまった。疲れた1日だった。

 彼氏さんの目的は何だったのか、うさぎと遊ぶことだったのか、娘には聞けていない。