【朝晴れエッセー】11月月間賞は大阪・佐竹加織さんの『健康のバロメーター』(3/7ページ) - 産経ニュース

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朝晴れエッセー

11月月間賞は大阪・佐竹加織さんの『健康のバロメーター』

 玉岡 家でも外でもティラノサウルスになりきってしまう。3歳の男の子の生態がいきいきと描かれていますね。

 山田 筆者が「恥ずかしい」と言っているところがいい。「かわいい」の言葉は一言もないのに、かわいさが伝わってきます。

 玉岡 子供のことを書くときはつい思い入れが勝って、かわいさや幸せのアピールになりがちです。でもこの作品は本当に客観的で、それがかわいさをより引き出しています。

 山田 それだけに、タイトルが残念でした。

 玉岡 もったいないです。ティラノサウルスが入ったタイトルなら完璧でした。

 山田 優秀作で重なったのは、婚活を始めた娘と縁結びの神社に行く「婚活総力戦」。これも面白おかしくて、うまいですね。

 玉岡 こちらもとても客観的です。娘を心配する気持ちや、娘がどんなにいい子かといった主観を書き込んでいません。「健康-」と「婚活-」は、いかに客観性が大事かというお手本のような作品ですね。

 山田 婚活の結果をさらりと書き、疑問を解消したオチもいいです。

 玉岡 部長のイチオシの「父と柿の木」は、父親が植えた柿の木をめぐるお話でした。

 山田 父親が話した疎開先のエピソードが切ない。母親が声を出さずに泣いていたところに、ぐっときました。

 玉岡 お代がわりの手土産が『足りない』といわれ、同級生に柿を返したというのがリアルですよね。朝晴れエッセーではあまりないパターンです。

 山田 戦時中の厳しさが伝わってきます。