浪速風

古に学ぶ新国立競技場にさらなる知恵を

国立競技場の軒庇=15日午後、東京都新宿区(納冨康撮影)
国立競技場の軒庇=15日午後、東京都新宿区(納冨康撮影)

「法隆寺は私の学校です」。薬師寺金堂の再建などを手がけた宮大工の西岡常一さんは、よくそう話していたそうだ。塔や金堂のような深い軒は中国にはなく「大陸からの技術を鵜呑みにせんと、雨が多く、湿気の多い日本の風土に合わせて、こういう軒の深い構造を考えたんですな」(「木に学べ」)

▶知恵を出して作ったのがいい、それが文化だという。その法隆寺をヒントに建築家の隈研吾(くま・けんご)さんが設計に携わった新しい国立競技場がお披露目された。スタジアム外周の軒庇(のきびさし)には国産の木材が使われ、目を引く。日の光や雨を防ぐが風は通すのが庇のよい所だ。

▶昨日の朝刊インタビューで隈さんは「日本は自然に優しい文化だというのを世界に知ってもらう、いいきっかけになる」と話していた。来年はさまざまなドラマがここで生まれるだろう。その後の活用を含めたあり方が問われるが、それこそ知恵の出番である。長く感動と記憶を語り継ぐ「聖地」にしたい。