大学入学共通テストの国語と数学の記述式問題について、文部科学省が導入を見送る方向で最終調整に入ったことが12日、分かった。ノーベル賞授賞式でスウェーデンに出張中の萩生田光一文科相が13日に帰国した後、最終的に決定し、来週前半に発表する。入試改革の目玉だった英語民間検定試験に続き記述式問題も見送りとなれば、共通テストの意義が大きく揺らぐことになりそうだ。
記述式問題をめぐっては、民間業者による採点ミスの可能性や自己採点の難しさなどの課題が指摘されており、文科省では大学入試センターや業者側と連携して採点の質を確保する仕組みや、自己採点の精度を高める改善を進めていた。しかし文科省関係者によると、50万人と予想される答案を短期間でミスなく採点する抜本的解決が難しいうえ、自己採点の改善策についても、受験生の不安を払拭するのは困難と判断したもようだ。
一方、問題の難易度を大幅に下げるなどして採点基準を明確化することや、記述的要素を残すような問題構成についても、検討しているという。
文科省は令和2年度予算の概算要求で、記述式の関連費用を含め共通テスト全体で事業費約50億円を計上している。予算案は今月20日に閣議決定される予定で、それより前に試験内容を決定、発表する方針だ。
来年度から始まる共通テストでは、11月に導入見送りが決まった英語民間試験と国語・数学の記述式問題が、入試改革の2本柱と位置づけられていた。