浪速風

中村哲さんの灯をこれからも長く

「暗いと不平を言うよりも、あなたが進んで明かりをつけなさい」。カトリック教会だったかマザー・テレサの言葉だったか。信仰心とはほど遠い人間でも、時折耳にしたこの言葉は心に残っている。たしかそんな運動もあった

▶なかなか実行するのは難しい言葉だが、この人は違っていた。アフガニスタン東部で農業支援に取り組み、銃撃で亡くなった福岡の医師、中村哲さんの遺体が帰国した。医療活動に収まらず、さらに深刻な清潔な水の確保へと歩を進め、井戸を掘り、用水路を造る活動を続けた。地元の人々のために進んで明かりをつけたのだ 

▶その死を悼み、首都カブールの空港では式典が開かれ、ガニ大統領も付き添った。その存在が大きかった証しだろう。誰のためにもならない凶行ではないか。いったいなぜ、という疑問を解明しなければならない。また、中村さんがともした火も消してはならない。荒れた地を耕すには時間がかかる。