政界徒然草

気候変動対策に大鉈ふるえぬ小泉環境相のジレンマ 「電源構成でがんじがらめ」 

ただ、政府は温暖化対策の長期戦略をすでに6月に閣議決定しており、温室効果ガスの排出削減目標は、「2050(令和32)年までに80%削減」だ。複数の環境先進国が進める「2050年までにCO2排出量実質ゼロ」とは開きがある。そもそも、昨年政府が定めたエネルギー基本計画では、2030(同12)年度の電源構成で石炭火力がなお26%を占め、小泉氏の威勢のいい言葉を実現するのは難しそうにもみえる。

小泉氏は10月中旬、歴代の環境政務官経験者と会食した際、温室効果ガス削減について「日本も大幅に見直した目標を掲げたい」と意気込んだ。ただ「日本は『電源構成』でがんじがらめになっている。政策で野心的な目標を打ち出すのは難しい」と本音も漏らしたという。

国の政策として削減目標を引き上げるのは難しい-小泉氏が最近、代替案として熱心に取り組んでいるのが「2050年までにCO2排出量実質ゼロ」を自治体レベルで進めることだ。

地方の首長と面会する際には、既に「ゼロ宣言」した自治体の取り組みを紹介している。

もちろん小泉氏の影響だけではないが、就任前は東京都や京都市など4自治体にとどまっていた「ゼロ宣言」自治体は、12月4日時点で21自治体まで増えた。

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