神戸市中央区の指定暴力団山口組直系「弘道会」神戸事務所前で今年8月、弘道会系組員が銃撃を受けて重傷を負った事件で、兵庫県警は3日夜、殺人未遂と銃刀法違反の疑いで、対立組織の神戸山口組直系「山健組」組長、中田浩司容疑者(60)を逮捕した。県警は中田容疑者が銃撃の実行犯とみて捜査している。
事件は8月21日午後6時15分ごろ発生。弘道会系組員(51)が、組事務所に車を止めようとしたところ、バイクに乗ったヘルメット姿の男に拳銃で撃たれ、腹や腕などに全治3カ月の重傷を負った。
捜査関係者によると、県警は事件の2日後、犯行に用いた可能性のある黒いバイクを現場の約600メートル南で押収。さらに数日後には、乗り換えたとみられる白いバイクを現場から約2・5キロ離れた病院駐車場で発見した。防犯カメラの捜査を進めたところ、白いバイクの男が神戸市内にある中田容疑者宅に入る様子を確認。この男の映像を精査したところ、中田容疑者本人と判明した。
県警は、元山口組系幹部に射殺された神戸山口組の古川恵一幹部(59)の通夜が行われた11月30日ごろ、中田容疑者の逮捕状を取って行方を捜査。3日夜に捜査員が大阪市淀川区の路上を歩く中田容疑者を発見し逮捕した。逮捕容疑は弘道会系組員に対し、拳銃で実弾を数発発射して殺害しようとしたとしている。県警は認否を明らかにしていない。
山健組は山口組5代目組長や神戸山口組組長の出身母体で、現在は神戸側の中核組織。中田容疑者は神戸山口組で「若頭代行」の役職にも就いていた。
山口組と神戸山口組の対立抗争は今年4月以降、山健組と弘道会との間で激化し、10月には山健組系組員2人が殺害された。昨年末時点の神戸山口組の構成員は約1700人。これに対し、山口組の構成員は中核組織の弘道会を軸に約4400人にのぼり、依然として国内最大の組織勢力を保っている。