大阪・心斎橋通り魔の無期確定へ 裁判員の死刑破棄5件目 最高裁

 大阪・心斎橋の路上で平成24年6月、通行人の男女2人を無差別に刺殺したとして殺人罪などに問われ、1審裁判員裁判の死刑判決が2審で破棄され無期懲役となった礒飛(いそひ)京三被告(44)の上告審判決で、最高裁第1小法廷(小池裕(ひろし)裁判長)は2日、検察、弁護側双方の上告を棄却した。2審判決が確定する。裁判員裁判の死刑判決破棄事件5件全てが確定することになった。

 第1小法廷は、今回の事件について、場当たり的で衝動的な犯行だったことがうかがえると指摘。「無差別殺人遂行の意思が極めて強固だったとは認められず、生命軽視の度合いも甚だしく顕著だったとはいえない」とした。

 また、死刑が究極の刑罰であり、その適用は慎重に行わなければならないという観点と公平性の観点を踏まえ、犯情を総合的に評価した結果、死刑を回避した2審判決については「著しく正義に反すると認められない」と判断した。

 国民の日常感覚や常識を判決に反映させることを目的に導入された裁判員制度だが、死刑については、上級審で量刑の判断基準となっている「永山基準」や先例が重視され、計画性の低さなどを被告の有利な事情とみて、死刑が回避される傾向が顕著になっている。

 礒飛被告は公判で起訴内容を認め、「『刺せ』という声(幻聴)に従おうと思った」と動機を説明しており、争点は刑事責任能力の程度と量刑だった。

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