朝晴れエッセー

婚活総力戦・11月27日

娘は無口で奥手だった。図書館で働いていたが、「親はいつまでも生きていないよ、人生を変えないと世界が広がらないよ」と言っても聞く耳を持たなかった。

ところが30歳の誕生日を迎えると、父親の会社が属しているグループのブライダルサークルに登録しに行くという。

有効期限は2年。係の女性が、「何かご希望は?」の問いかけに、「年下がいいです」「年下の男性は、当節困難を窮(きわ)めますね…」「はあ…」。ま、やるしかない。

やると決めると、とことんやる娘は、出雲大社に行くという。観光旅行気分で親子3人で出発。婚活女子お定まりのコースで、まず出雲大社参拝。次は道の敷石に彫られたハートマークをみつける。3人で落とし物を捜すように足下を見ながらウロウロ。「あった!」

最後は八重垣神社で占い。10センチ四方位の白い紙の中心に十円か百円を載せ、早く沈むとご縁が早く訪れ、遅いとそれなりに。はりこんで百円玉を載せ、3分、5分、7分、沈まない…。

その時、父親が「どう?沈んだ?」と楽しそうにドタドタと池の縁に立った。と同時に、足音にびっくりしたのか、小蛙がピョンと娘の百円めがけてとび込んだ。

「ああっ…」。泳げるはずの蛙が紙と百円玉と三位一体となって池の底に沈んでいった…。笑いをこらえる巫女(みこ)さんによると、硬貨が沈んだ時点で占いは成立するらしい。

その後、有効期限ギリギリで公約通り年下男子とご縁があり、今、娘は2児の母親である。

砂崎 三千代 67 埼玉県志木市