教育はいま

失踪、洗脳状態…その部活、ブラックです 奈良大教授が指標作成

■強豪校ほどブラック化

 部活動をめぐっては、特に勝利にこだわる強豪校で、顧問が期待に応えられない部員に罰を与えるなどの問題が起こりやすい。顧問による直接の圧力や暴力だけでなく、チームメートからも責められた生徒が孤立し、精神的に追い詰められる状況も起こっている。

 関西の私立女子高のダンス部では2年前、3年生の部員が一時、失踪した。同部は全国大会で毎年入賞する強豪校で、学校の期待も厚く、部専用の練習場所や専属コーチもいた。だが、大会での好成績を求められたコーチが技量不足の部員を指弾し、部員間の関係も悪化。仲間から、なぜできないのかと責められた部員は「死にたい」と思い詰め、下校中に失踪した。錯乱状態で歩き続け、数時間後に発見されたという。

 同校の女性養護教諭は「部活を理由にうつになる生徒が毎年、出ている。これが教育とは思えない」と疑問を口にする。

 奈良大の太田仁教授は「私立の強豪校は学校や保護者から結果を求められるあまり、ブラック化しやすい」と指摘。また、「勝利至上主義から顧問と部員に絶対的な上下関係が生まれると、部員は過剰に集団への帰属意識を持つようになる。カルト宗教にはまっていく状況に酷似している」と説明する。

 一方で、強豪とはいえない普通の学校でも、問題は起こっている。

 大阪府内の私立高で、年間の休日が盆と年始の数日間しかないバレーボール部に所属していた女性(25)は「弱小部だったが、休むことは許されず、それが当然だと思い込んでいた」と振り返る。練習中に過呼吸になった部員をコート外に運ぶと、顧問がその部員の顔面にボールを投げつけ、「コートに戻れ」と叫んだという。「絶対的存在の顧問を怒らせないよう細心の注意を払った。当時は洗脳状態でした」

 部活動に所属していない生徒への圧力もある。岡山県の公立中出身の男子大学生(19)は、部活動をしていないクラスメートに対し、担任が「ここには部に入っていない者がいる」と嫌みを言ったことに違和感を覚えた。自身も部活動をやめたいと相談した際に怒鳴られたといい、「部活の加入は本来自由であるべきだ」と訴えている。

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【用語解説】ブラック部活

 顧問や指導者から部員に対し、体罰や人格否定、長時間拘束などの問題のある部活動。休日返上で指導に当たる教員への過重負担を指す場合もある。部活動は学校教育の一環ではあるが教育課程には含まず、文部科学省は、生徒と教員、生徒同士の人間関係を構築したり自己肯定感を高めたりする多様な学びの場として位置づける。部活動は自主的、自発的な参加によるもので、本来強制はされない。

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