サッカーのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)は24日、埼玉スタジアムでホームアンドアウェー方式の決勝第2戦が行われ、ACL史上最多となる3度目の優勝を狙う浦和がアルヒラル(サウジアラビア)に敗れた。
浦和の前に屈辱的な光景が広がった。後半29分に先制点のアウェーゴールを許すと、観客が次々に席を立つ。ロスタイムを含めて約20分は残っていても、サポーターの多くは勝利に必要な3得点は無理と判断。それも致し方ない完敗だった。
「こてんぱんにやられてしまった。フィジカル、技術、すべての面でかなり上回られた」と白旗を揚げたのは槙野。ファブリシオも「思い描いた試合ではなかった。相手の力が上だったと認めるしかない」と失望感を隠せなかった。
相手のプランにはまった。欲しかった早い時間帯での得点を奪えず、前に重心が移ったのを見透かされたようなカウンターで先制を許す。その後も無理しない相手を崩しきれず、後半ロスタイムに再び鮮やかなカウンターでゴールを許した。
ビルドアップがうまく機能せず、意図の感じられないロングボールを繰り返す。だからといって相手ゴールに近いところでボールを奪って速攻を仕掛けるわけでもなく、大槻監督は「力を引き出してあげられなかった」と悔やんだ。
ACL史上初となる3度目の優勝を信じるサポーターで埋まったスタンドの雰囲気は今季最高だった。そこへ突き付けられた現実は、今季の無冠決定と残されたJ2降格回避への戦い。膨らんだ期待は一気にしぼみ、スタンドの熱気はむなしさへと変わった。(奥山次郎)