土壇場で首の皮つながる優勝 阿部一、「前に出る柔道」で復活

【柔道グランドスラム大阪2019】男子66キロ級決勝 丸山城志郎(左)に勝利した阿部一二三=丸善インテックアリーナ(撮影・松永渉平)
【柔道グランドスラム大阪2019】男子66キロ級決勝 丸山城志郎(左)に勝利した阿部一二三=丸善インテックアリーナ(撮影・松永渉平)

 妹の詩とともに目指す東京五輪へ背水の陣で臨んだ阿部一二三が、土壇場で踏みとどまった。敗れれば夢が限りなく遠のく丸山城志郎との柔道のグランドスラム(GS)大阪大会男子66キロ級決勝。代表レースで先行するライバルとの激戦を延長戦の末に制し「やられっぱなしで終われない。自分が一番強いんだとまた思えた」。失いかけていた自信を取り戻した。

 序盤から相手の引き手をつかみ、窮屈になった丸山は技をなかなか仕掛けられない。先に指導をもらったが「何が何でも絶対に引かない」と決め、迎えた延長3分27秒。得意の内股を狙った丸山の勢いをこらえて支え釣り込み足を合わせ、技ありで畳に沈めた。

 丸山には昨年のGS大阪大会から3連敗。2017、18年世界選手権を制した22歳の実力者も五輪代表争いで一気に追いつかれ、そして追い越された。それでも諦めることなく「持ち味の前に出る柔道を見つめ直した」という。

 丸山の代表決定を寸前で阻止し、再び一騎打ちに持ち込んだ代表争い。「リオデジャネイロ五輪の出場を逃してから、ずっと努力してきた。東京五輪の金メダルという夢はかなえないと」。最後に笑うのは自分だとばかり、拳を握りしめた。(岡野祐己)

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