まだ着られる中古衣類の寄付で、障害者スポーツ(パラスポーツ)を応援する産経新聞社の「ふくのわプロジェクト」。11月20日現在で、累計約222トンの衣類を回収、約443万6千円の収益金は全額、パラスポーツの競技団体に寄付される。23、24日に開催される第36回日本パラ水泳選手権(千葉県習志野市の県国際総合水泳場)でも回収活動が行われる。
ふくのわプロジェクトは、なかなか注目されにくいパラスポーツの支援を目的に、多くの人が参加できる仕組みにしようと企画され、平成28年にスタートした。28、29年度には東京都の「『持続可能な資源利用』に向けたモデル事業」に選出。学校や行政、企業も活動に協力しているほか、首都圏12カ所に回収ボックスを常設している。来年の東京パラリンピック以降も支援するため、回収拠点の増加を目指す。
参加するには、(1)回収ボックスや各地で開かれるイベントに持参(2)提携先の「原宿シカゴ」(茨城県稲敷市)の倉庫に送付または持参(3)中古ブランド品の宅配買い取りサイトを通じて寄付-といった方法がある。また、中古衣類の販売イベント「ふくのわマルシェ」も不定期に開催されている。
回収された衣類は原宿シカゴが1キロ当たり7~10円で買い取る。同社からマレーシアに運ばれ、現地で仕分けされた後、アジア、アフリカなどで再販売される。同社物流部の郡司清春部長は「日本の中古衣類は体形が近いアジアで、まだ需要が高い。大切にされてきた昔の衣類は作りもよく、若者向けのものを中心に人気がある」と話す。
素材やデザインが多様で、再生用途が限定される衣類は、リサイクルが進まないのに加え、近年は供給過剰の状態にある。経済産業省などのまとめによると、平成初めに年間約20億点だった国内のアパレル供給量は、28年には約40億点に倍増。一方で市場規模は15兆円から10兆円に縮小、購入単価も4割ほど下落しており、大量の衣類が売れずに廃棄されているとみられる。アルミ缶やペットボトルの7~9割がリサイクルされているのに対し、衣類は3割以下にとどまり、年間約100万トン以上が焼却、埋め立てなどによって処分されているとされる。
アパレルメーカーなどでつくる日本アパレル・ファッション産業協会では「サステナビリティー(持続可能性)の観点からも、できることから協力したい」(矢後弘和参事)として、ふくのわに賛同。会員企業への参加を呼びかけている。