シングルマザーなど未婚の一人親世帯の税負担を軽減する措置について、自民党税制調査会の甘利明会長は20日、都内で行われたBS11の収録で「税制で対応できるようにしたい」と述べ、令和2年度税制改正で措置する考えを示した。配偶者と死別や離婚した場合には所得税などを軽減する「寡婦(夫)控除」があるが、未婚の一人親世帯は制度の対象外のため、平成31年度の税制改正で対象にするかが議論されたが、結論が先送りされていた。
寡婦控除は結婚後に配偶者と死別、離婚した人は所得税で最大35万円、住民税では最大30万円が所得から差し引かれて税負担が軽くなる制度。31年度の税制改正では、公明党が未婚の一人親にも支援を拡大するよう主張したが、伝統的な婚姻関係による家族観を重視する自民党の保守系議員が「未婚での出産を助長しかねない」などと反発した。
その結果、住民税を軽減した上で予算措置を講じることで合意したが、所得控除は見送り、税制改正大綱では「さらなる税制上の対応の要否などについて、32(令和2)年度税制改正において検討し、結論を得る」としていた。
甘利氏は収録の中で「結婚経験がある一人親と、ない親で、税の対応が違うのは子供の立場からすると不公平だ」と述べた。収録後に記者団の取材に応じた甘利氏は「基本的な家族観を壊さずに、子供の公平感を確保する。2つが成り立つように考えたい」とした。
自公両党は21日に税制調査会の総会をそれぞれ開催し、税制改正に向けた議論を本格化させる予定で、寡婦控除の未婚の一人親への対象拡大についても、議題の一つに上がりそうだ。
このほか、総会では企業の内部留保をM&A(企業の合併・買収)などの投資につなげる税制など、経済成長を後押しする税制の新設が主要議題となる見通し。また第5世代(5G)移動通信システムの普及のため、通信網整備を前倒しする企業への減税や、「少額投資非課税制度(NISA)」のうち、つみたてNISAの期限延長についても議論する。