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学校でライフル組み立て…進む軍国化教育 

露経済紙「RBK」は7月、露国防省が40億ルーブル(約68億円)をかけて首都モスクワ近郊に「軍事愛国心教育センター」を建設する方針を決めたと伝えた。

同紙によると、センターの完成後は、近隣の男子高校生に対して週1回、18歳以上の男性の義務である兵役に向けた基礎訓練が行われることになる。訓練参加が義務となるか任意となるかは検討中という。

さらに国防省が精力的に進めてるのが、青少年に愛国心を植え付けることを主眼に、16年から全国的に展開しているプログラム「ユナルミヤ(若き軍隊)」だ。8~18歳の少年少女を対象に、戦史研究やスポーツ活動、登山やキャンプなどを通じて愛国的な人格の涵養(かんよう)を図るとうたうユナルミヤには、既に55万人以上が参加している。

戦前のドイツで、ナチスの支配を支えた青少年教化組織、ヒトラー・ユーゲントを想起させる運動だ。

露政府がこうした愛国主義教育を進める背景には、14年のクリミア併合で国際的に孤立し、経済制裁による景気低迷も続く中、ロシアの正しさを若者層に植え付け、政府に対する疑問や反感を芽生えさせないようにする狙いがあるとみられている。しかし、こうした軍国主義的な愛国教育の強化をめぐっては、露国内に危惧も根強い。

教育省による銃組立体験の勧奨について、10月30日付の経済紙ベドモスチは「ロシア政府は近年、学校教育よりも愛国教育を重視する姿勢を示してきたが、教育省の勧奨から明らかになったのは、愛国教育の優れたツールが銃の組立と分解だということだ」と皮肉を込めて報道。「もちろん偉大な同胞の伝記を学ぶことは愛国主義の涵養に役立つが、現在のロシアではあまりにも軍事寄りに偏っている」とも指摘した。

別の経済紙コメルサントも「(教育省の勧奨は)軍国主義化への傾斜を示している。ロシアではなぜ、愛国主義が芸術や科学ではなく軍事と結びついてしまうのかという、お決まりの疑問を呼び起こすものだ」とする人権活動家シェルバク氏の見解を伝えた。

ベドモスチは別の記事でも、近年のロシア政府の教育政策は、子供に積極的な愛国教育を施していたソ連時代を彷彿(ほうふつ)させるとも指摘。「ソ連時代の愛国教育がソ連を崩壊から救えなかったことを思い出すべきだ。幼すぎる子供へのワクチン接種(愛国教育)は有害にもなりうるのだ」と警告している。

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