河村直哉の時事論

韓国書物「反日種族主義」 敬意を表したい

しかしこの本は韓国でベストセラーになった。そこに可能性を感じる。筆者は当欄で、韓国の良識的な保守派が声を上げてほしい、と書いてきた。保守であろうとなかろうと、韓国で反日史観の見直しが進み、広がりを見せようとしている。時間はかかるかもしれない。しかし日韓関係の修復が可能だとしたら、それが大きな手がかりとなるだろう。

■利用してはならない

ただし日本人は反韓・嫌韓といった次元で、日本を正当化する目的のみでこの本を利用してはならないと思う。それは書物にも執筆者にも失礼だろう。この本は、自国内での誹謗(ひぼう)を覚悟した上で、歴史の事実と向き合おうとする誠実な知的格闘の産物である。自国をよい国にしようという至情の発露である。積み重ねられた学問的知見に学べるものも多い。

収奪や強制がなかったとしても、日本が韓国を併合したのは事実である。韓国で流布する反日史観、それと呼応するように日本で広がった自虐史観を排するのは大前提とする。その上で併合の明暗を事実に基づいて見るべきだろう。併合下の朝鮮半島で身内が痛々しい差別を受けたという人の声を、筆者は直接聞いたことがある。そうしたことをふまえた上で、日韓の良好な関係を築かねばならないと思う。

朴正煕と福田恆存

以下、「反日種族主義」とは関係はないが、国内の批判を抑えて日韓基本条約を結んだ朴正煕元大統領と、福田恆存について書いておきたい。今後の日韓関係を考えるひとつの参考になるのではないかと思うからである。

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