ぐんまアート散歩

県立館林美術館「ピカソ展-ゲルニカ[タピスリ]をめぐって」

開催中の「ピカソ展」で展示されている「ゲルニカ」のタピスリ(県立館林美術館提供)
開催中の「ピカソ展」で展示されている「ゲルニカ」のタピスリ(県立館林美術館提供)

 ■戦争の残虐性、語り続ける

 パブロ・ピカソ(1881~1973年)による絵画《ゲルニカ》(1937年)を、ご存じの方は多いだろう。1937年、スペイン内戦におけるバスク州の自治体ゲルニカへの無差別爆撃を主題として制作された作品である。子供を抱いて泣き叫ぶ母親や剣を手に横たわる兵士、いななく馬、うつろな表情をした牛など、画面内で起こっていることは、いかにもむごたらしく、危機的で、モノクロームの色彩も手伝って戦争の残虐性をショックとともに鑑賞者に伝えている。

 現在はマドリードの国立ソフィア王妃芸術センター所蔵の本作だが、では、その《ゲルニカ》に基づいて、ほぼ同寸大で制作されたタピスリ(タペストリー)が群馬県立近代美術館に所蔵されていることを、ご存じの方はどれだけいるだろうか。現在、県立館林美術館で開催中の「ピカソ展-ゲルニカ[タピスリ]をめぐって」は、《ゲルニカ(タピスリ)》を中心に、オリジナルだけではなくタピスリの制作経緯がつまびらかに紹介されている貴重な機会である。

 たとえば「ピカソ《ゲルニカ》42点の習作(ファクシミリ複製)」は、ピカソが《ゲルニカ》を制作するにあたって、いかに多くの習作を重ね画面の検討を行っていたかを端的に教えてくれるだろう。また、戦意を鼓舞する雄々しいポスターや、1937年前後に撮影された写真家ロバート・キャパの写真群は、絵画とは異なる側面から当時のスペインの状況を生々しく知らせるものだ。

会員限定記事会員サービス詳細