将棋の高校生棋士、藤井聡太七段(17)の初のタイトル挑戦はならなかった。19日、東京都渋谷区の将棋会館で行われた広瀬章人(あきひと)竜王(32)との第69期王将戦挑戦者決定リーグの最終局。持ち時間の大半を使い果たしながら、終盤で広瀬竜王に対し、一時勝勢となった。しかし激しい王手の掛け合いの中、思わぬミスが出て惜敗した。
持ち時間各4時間の王将リーグ最終局は、藤井七段の先手で午前10時に始まった。藤井七段が持ち時間を大きく消費した状態で、終盤では、やや広瀬竜王の形勢が良い-というのが棋士ら検討陣の評価だった。
藤井七段が先に持ち時間を使いきり、60秒以内で指さなければならない「1分将棋」に突入した辺りの局面で、逆転模様となった。
藤井七段が優勢となり、間違えなければ勝つ可能性が高いとの分析もあった。しかし、互いに王手を掛け合う中、持ち時間がほとんどなかった藤井七段にミスが出た。藤井七段は挽回しようとしたが追い詰められ、午後7時42分、広瀬竜王に頭を下げた。
この対局で藤井七段が勝てば、王将戦の開幕時で17歳5カ月というタイトル挑戦の最年少記録の更新が懸かっていただけに、将棋会館には約70人の報道陣が集まっていた。
終局後、藤井七段は「少しでも嫌みをつけないと勝ちにはならないと思い、局面を複雑にしようとしていた」と振り返った。逆転する場面もあったが、「最後、(局面を)難しくできたと思ったが、時間が無く、分からなかった」と肩を落とした。
「最後に間違えたのは残念だが、結果として(これが)実力かな、と。また実力を高めて頑張る」と前を向いた。