竹島を考える

日本を「近くて遠い国」と呼ぶ韓国の主張 

韓国の国策研究機関「東北アジア歴史財団」は10月17日、『日本の偽りの主張 独島の真実』を刊行し、財団のホームページに公開した。これは2012年に制作された『日本人が知らない独島10の真実』のリニューアル版で、新たに財団理事長の金度亨(キムドヒョン)氏の刊行の辞がついていた。

金氏はその中で日本を「近くて遠い国」とし、その理由を「1965年の韓日国交正常化」の時は歴史問題を解決できなかったが、最近の日本はその「歴史の傷口を抉(えぐ)り」、独島(竹島の韓国側呼称)を日本領と主張しているからだとした。日韓関係が「近くて遠い」責任は、日本にあるというのだ。そのため本書のもう一つのタイトルは、「日帝侵奪史を正しく知る」となっている。

「近くて遠い」は韓国側の常套(じょうとう)句だった

だが、日韓を「近くて遠い」と表現するのは韓国側の常套句で、日本ではあまり使われていない。私自身が「近くて遠い国」と出合ったのは1980年代だ。韓国の三星グループで日本語教育を担当することになり、事前に読んだ『近く遥(はる)かな国から』で、著者の金素雲(キムソウン)氏が次のように記していたのが印象に残っている。

「『近くて遠い-』といった月並みな文句がいつまでも居据(いすわ)っている韓国と日本-。もうこんな古めかしい形容語が鼻についてもよい時分であるが、ことによるとこれは、隣り合った二つの国の、無限軌道にも似た宿命的な合言葉なのかもしれない」

『近く遥かな国から』が新潮社から出版されたのは1979年。その後記で金素雲氏が「古めかしい形容語」とした「近くて遠い-」は、今では日韓の「宿命的な合言葉」となっている。『近くて遥かな国から』の帯書きには、「日本と韓国とを隔てる心の壁をつき崩すには-」と記されているが、日本では「嫌韓」と「断韓」が流行している。

それは金理事長が、竹島の領有権を主張する日本批判の裏返しでもある。

竹島論争の争点を変えた韓国

韓国側では、反論する日本が気に入らないのであろう。1954年以来、竹島の占拠を続ける韓国側としては、今さら、日本の主張など受け入れられない。『日本の偽りの主張 独島の真実』の底本となった『日本人が知らない独島10の真実』は、すでに島根県がウェブ竹島研究所のサイトで公開したリポート『韓国が知らない10の独島の虚偽』によって論破されている。