朝晴れエッセー

初フライト・11月17日

休日の朝、高架線の私鉄上り方面ホームは人がまばらで静かな時間が流れている。

大人になったなあ

急行を見送り、各駅停車の列車を待ちながら、胸が熱くなる。この時、私は海外に初めて単身、留学する娘を空港まで見送った帰り道。

「じゃあね」

「気を付けて」

出発ロビーでゲートの入り口への列に並ぶ所で娘と別れた。娘が列を進んで行く。最後に見えなくなるまで見送っていたが、娘は一度も振り返ることはなかった。

勇気、好奇心、向学心、行動力…

そんな言葉が頭に浮かんだ。なんだか娘を頼もしく、眩(まぶ)しく感じた。

実は初めて留学の話をされたときは、

だいじょうぶなのかな?

心配が先に立った。そして素晴らしい経験になるから、と送り出すことを決めた後も、この日までどこか心配だった。

そして出発の日。

この日の娘を見て、私が思っているよりきっと何倍も、日々、さまざまなことを悩み、葛藤し、乗り越えたり抱えたり…、頑張っているんだな。子供たちの見えない日常に思いを馳(は)せる。

そうか私にとっても初フライトの日がいつか来る!

急に自分もさっき娘を見送った列に並んだ気がしてくる。子供たちの巣立ちは確実に近づいてきている。親として初めての経験。自分にもこの言葉を贈ってみよう。

勇気、好奇心、向学心、行動力。

休日の朝のホーム。晴天。秋のさわやかな風が吹き優しい朝陽が照らしていた。

室井 昌美 48 東京都大田区