浪速風

出よ道頓堀のモーツァルト

ある冬の夜、評論家の小林秀雄が大阪・道頓堀を「うろついていた」とき。「突然、このト短調シンフォニイの有名なテエマが頭の中で鳴ったのである」。鳴ったのはモーツァルトの交響曲だった。評論「モオツァルト」に書かれている。

▶それは小林の「乱脈な放浪時代」だった。大阪の街にはネオンとジャズが充満し、流行の歌が流れていた。歴史に名を残す評論家の、歴史的な名文に道頓堀が出てくるのがうれしい。いまもかいわいは派手ににぎわい、夜も光が輝いている。凡庸な小欄の頭の中でモーツァルトは鳴らないが、道頓堀にさまざまに触発される才能は多いことだろう。

▶商店会や大阪観光局などが「道頓堀ナイトカルチャー創造協議会」を設立した。夜も楽しめる仕掛けをつくる。街を満喫し、また何かのアイデアを得ることができたらおもしろい。音楽に限らずビジネスでも何でもいいのだが、こういっておきたい。出よ道頓堀のモーツァルト。