ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会観戦などのため来日していたオーストラリア在住の50代男性が日本国内で、死に至る恐れのある「侵襲性髄膜炎菌感染症」を発症していたことが15日、厚生労働省への取材で分かった。男性は治療を受けて回復後に帰国しており、感染が広がるリスクは低いとみられる。
感染経路は不明だが、髄膜炎菌の潜伏期間をふまえると、男性は今月2日のW杯閉幕後に日本国内で感染した可能性が高い。多くの外国人が訪日する2020年東京五輪・パラリンピックに向け、感染症拡大のリスクは医療業界などから度々指摘されており、今後の対策に影響を与える可能性もある。
厚労省によると、男性は来日後にW杯を観戦し、その後も国内に滞在。11月10日に症状が出て医療機関で受診し、感染が発覚した。
髄膜炎菌の潜伏期間は2~10日間で、平均4日で発症する。男性は、すでに感染していた可能性のある11月4日に富士山へのバスツアーに参加しているが、他のツアー客からの感染報告は出ていないという。
侵襲性髄膜炎菌感染症の症状は高熱や頭痛、嘔吐(おうと)などで、抗生物質で治療できるが、重症化すると死に至る。飛沫(ひまつ)感染するが、飲み物の回し飲みなど濃厚な接触がなければ、感染のリスクは低い。国内でも年間35件ほどの発症例がある。