厚生労働省は13日、パートなどの短時間労働者への厚生年金の適用拡大に向け、企業規模要件を緩和する方針を固めた。現行では「従業員501人以上」が要件だが、「50人超」に段階的に引き下げる案が有力視されている。ただ保険料は労使折半のため、中小企業には反発が強い。来年の通常国会に関連法改正案を提出する方針だが、調整は難航しそうだ。
厚生年金の適用拡大はパートらの老後の年金水準を充実させるとともに、年金の財政基盤を強化する狙いがある。現行では従業員501人以上の企業で週20時間以上働き、月収8万8千円以上などの条件を満たせば、短時間労働者は強制的に加入する仕組みになっている。
厚労省は企業規模要件を緩和した場合の推計をまとめており、「50人超」にした場合、加入者は約65万人、「20人超」の場合は85万人、「撤廃」なら125万人増加する。中小企業基本法では小売業の中小企業を「50人以下」と定めており、これを参考に最終的に「50人超」にすべきだとの意見が自民党内の厚労族の間で強まっている。
一方、厚労省は13日、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の年金部会に、働いて一定以上の収入がある人の厚生年金を減らす在職老齢年金制度について、65歳以上の減額基準の月収(賃金と年金の合計額)を現行の「47万円超」から「51万円超」に引き上げる案を提示した。同制度は60~64歳の働く人も対象で、現行では「28万円超」で減額される。部会ではこれを「51万円超」「47万円超」に見直す2案を提示した。
このほか、弁護士や行政書士、公認会計士など、法律や会計に関する行政手続などを扱う業種(いわゆる「士業」)を厚生年金の対象にする案を示した。