「春の高校バレー」として行われる第72回全日本バレーボール高等学校選手権大会(産経新聞社など主催)の茨城県予選が12日、日立市の池の川さくらアリーナで開幕する。注目は、女子の第1シードとして出場する県立日立第二高校の石崎愛香(まなか)選手(17)だ。5月の高校総体県予選では、公立校としては実に27年ぶりとなる優勝の立役者として活躍し、「超高校級エース」との呼び声も高い。
ズゥン-。明らかに他の選手とは違う重い音が体育館に響いた。
「来ると分かっていても止められない」。大畠康弘監督は石崎選手が放つスパイクをこう評し、「そのパワーがチームの勝利の鍵を握っている」と信頼を寄せる。高校総体県予選では、優勝候補の土浦日大や大成女のブロックを蹴散らし、チームを優勝に導いた。
「規格外」のパワーは県外のバレー関係者の注目も集めている。2年生ながらすでに複数の大学から水面下で入学の誘いがあり、Vリーグの関係者からも声がかかっている。
とはいえ、プレーヤーとしての歩みは、いわゆる「スポーツエリート」とは程遠い。中学時代は部員わずか4人、吹奏楽部から助っ人を借りて試合に出場するバレー部で過ごした。
高校進学の際は、複数の私立のバレー強豪校からも誘いを受けたが、「地元のメンバーで私立を倒して上位を目指したい」という気持ちから日立二を選んだ。大畠監督の呼びかけを受けて中学時代から日立二での練習に参加していたことも理由の一つだった。
「ボールを『たたく』のではなく、体をひねり体重を載せて『押し込む』」
スパイクのコツをこう披露する石崎選手にバレーを始めた理由を尋ねると、「お弁当を食べたかったから」という意外な答えが返ってきた。弁当持参でバレーの練習に行く姉をうらやましく感じ、自分もやってみようと思い立ったそうだ。
弁当のおかずには「肉」を欠かさない。牛肉や豚肉だけでなくイノシシ肉にシカ肉、クマ肉も…。
「小さい頃からこういうお肉を食べてきたことがパワーの源かな」
プロ注目のエースは照れくさそうに笑った。(永井大輔)