朝晴れエッセー

健康のバロメーター・11月5日

3歳の次男は、恐竜好きだ。きっかけは、おじいちゃんにもらった恐竜図鑑。図鑑にはDVDが付いており、何度も見るうちに、ティラノサウルスになりきるようになってしまった。

「ガアアアッ」。歩き方、首の動かし方、ほえる声、何もかもティラノサウルスそのものである。

あるとき私が洗い物をしていると、おしりに衝撃があった。「いたっ!なに?」

見ると次男がにやり。チョキの2本の指を、少しおり曲げ、口を開けている。ティラノサウルスだ。

「もう!お尻かまないで!」。私がにらむと、とびはねながら逃げていく。ティラノサウルスになりきっているときに、どれだけ話しかけても返答はない。ため息をつきつつ、家の中では大目にみていた。

しかしである。外でもティラノサウルスになるようになってしまった。近所の人に出会っても、首をぐるりと回し、とびはねながら走り去ってしまう。

「すみません、今、恐竜になりきっていて…」。言い訳をしつつ、追いかける。恥ずかしい。いつまでこれが続くのだろう。

そう思っていた矢先、次男が熱を出した。数日、ティラノサウルスのいない日が続く。静かだった。私はふと、次男のまねをして、少し背中を曲げ、とびはねるように走ろうとしてみた。きつい。息切れがする。元気なときでないと、ティラノサウルスにはなれないのだ。

「ガアアアッ」。熱が下がり、次男はまたティラノサウルスになった。私は、今日も健康で何より、と考えることにした。

佐竹 加織 43 大阪市住之江区