朝晴れエッセー

台風の後で・11月2日

すごい台風だった。

高台にあるわが家は、浸水の心配はなかったけれど、バスも電車も止まっているし、坂の下では川が氾濫している。不安を抱えてテレビのニュースを見続けた。

仕事が休みの息子と、早めに仕事から帰ってきた娘が一緒にいることが心強かった。

翌朝は、台風一過の青空。

仏壇の主人の写真にあいさつをしてから雨戸を開けたとき、目の隅に何か動くものが見えた。

(ん? 何かいる?)

そっと探すと、なんとヤモリだった。

目を離した隙にどこかに隠れてしまった。

いつ家に入ったのだろう。台風から避難してきたのかしら?

もしかしたら、このヤモリが私たちを守ってくれたのかしら?

仏壇の主人に問いかけた。

あのヤモリは、貴方が遣わしたのですか?

写真の主人はただ笑っているだけ。

うちのなかには、たいした餌もないのではないかしら。

見つけることができたら、なんとか逃してあげたいと思う。その前に外に出てくれたらよいのだけど。

被災されたみなさまが、一日も早く平穏な生活に戻れますように。

石田かおる 62 神奈川県厚木市