3大会ぶり3度目の優勝が懸かった南アフリカと、16年ぶり2度目の頂点を目指したイングランドとの対戦は南アフリカが力勝ちした。
後半途中までは拮抗(きっこう)した展開だったが、その中でも、南アフリカはスクラムで優勢に立ち、PGで得点を重ねていった。
試合が動いたのは後半25分だった。南アフリカが相手の数的不利を突いてトライを挙げ、流れが決まったが、勝因の一つにはタッチキックを多用しなかったことが挙げられる。
準決勝でイングランドが得たラインアウトは20回だったのに対し、この試合はわずか8回だった。イングランドはセットプレーからの攻撃が得意なチーム。最も作戦を立てやすいラインアウトからの攻撃の機会を奪うことで、相手の強みを封じ込める狙いがあったのだろう。
今大会は、ディフェンスが効果的に前に出て相手の時間とスペースを奪うチームが多く、「ディフェンス優位」の傾向が顕著だった。その証しに、準決勝では全チームともトライ数は1つと少なかった。
中でも最も防御が強固だったのが南アフリカで、優勝という形で時代の流れを示したといえる。
(キヤノンアシスタントコーチ、元日本A代表監督)