【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮が31日午後に発射した飛翔体2発について、韓国軍は同日、発射場所は平壌近郊の順川(スンチョン)で、飛行距離は最大約370キロ、最高高度は約90キロと探知したと発表した。河野太郎防衛相は、発射されたのは短距離弾道ミサイルで、飛距離約350~400キロ、高度約100キロに達したとの見方を示した。
日本の排他的経済水域(EEZ)内には落下しなかったもようだ。北朝鮮によるミサイルなどの発射は、10月2日に新型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射して以来で、今年5月以降12回目。
「超大型放射砲(多連装ロケット砲)」と称した事実上の短距離弾道ミサイルを含め、最近試射した新型短距離弾道ミサイルと同種の可能性がある。
北朝鮮の非核化などをめぐる米朝実務協議が10月5日にスウェーデンのストックホルムで開かれたが、実質物別れに終わった。その後も北朝鮮はトランプ米政権に敵視政策の完全撤回などを求め、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が期限に指定した年末までに再考するよう金英哲(ヨンチョル)党副委員長名などで相次ぎ談話を出して迫っており、米側の関心を引き付ける狙いがありそうだ。
内陸を横断する形で発射することで、実戦配備に向けて飛行精度を誇示する目的ものぞく。金氏は、南北経済協力を象徴する東部の金剛山(クムガンサン)で韓国側が建てた観光施設の撤去も指示しており、文在寅(ムンジェイン)政権を一層揺さぶる思惑ともみられる。