浪速風

「身の丈」を乗り越える気概も

直木賞作家の穂積驚(みはる)が昭和14年に発表した小説「學生俥夫(がくせいしゃふ)」は、人力車を引きながら大学を目指す苦学生の物語だ。主人公は「仕送りで安閑として、勉学に專心できる幸福な人達とは、分秒の間をさへ惜しまねば追ひ越すどころか肩を並べることもできないやうな気がする」と語る

▶「身の丈に合わせて頑張ってもらえれば」。大学入学共通テストで活用される英語民間検定試験をめぐる萩生田光一文部科学相の発言だ。新制度は英検など6団体7種類の試験を選んで受験し、2回分の成績が志望大学に提供される。居住地や家庭の経済状況によって受験機会が不公平になり、試験会場が少ない地方の受験生が不利になる懸念もある 

▶「受験生に不安を与えてしまった」と萩生田氏は発言を撤回した。もちろん、文科省には受験生に不安を与えない制度にする責任があるが、受験生も分秒を惜しんでハンディを乗り越えようとした先人の気概を持っていてほしい。