米大統領選、民主党で新たな中道候補の待望論 ヒラリー氏が色気か

 【ワシントン=黒瀬悦成】来年11月の米大統領選に向けた民主党候補指名争いで、トランプ大統領(73)に勝てそうな新たな候補の登場を待望する声が党の有力支持者の間で広がりつつある。本命視された中道穏健派のバイデン前副大統領(76)の勢いが衰える一方、左派系のエリザベス・ウォーレン上院議員(70)が支持を拡大していることを受け、「現状ではトランプ氏に勝てない」との危機感が強まっているためだ。

 民主党支持者の間で話題に上っている「まだ見ぬ強豪候補」の筆頭格は、2016年の前回大統領選でトランプ氏に敗れたヒラリー・クリントン元国務長官(72)だ。

 クリントン氏は今月上旬、米公共放送PBSの番組で「トランプ氏と再び対決すべきかも。もちろん私が勝ちますが」と発言。口調は冗談めかしていたものの、クリントン氏が出馬に前向きであるとの観測が一気に高まった。

 同氏の夫、ビル・クリントン元大統領(73)の政策顧問だった政治評論家のディック・モリス氏は27日、ラジオ番組で「彼女は出馬したがっているし、計画も進めている」と述べた上で、「バイデン氏が途中で脱落し、中道穏健派の有力候補が消えたときにクリントン氏が名乗りを上げる可能性がある」と指摘した。

 一方、「クリントン氏では新鮮味に欠ける」として代わりに名前が挙がるのが、元ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ氏(77)だ。知名度や資金力は申し分なく、「トランプ氏に対抗し得る」と推す声は多い。ただ、昔は共和党支持者だったことや金融界に近いことがネックとなり、民主党の指名争いを勝ち抜けないとの観測も根強い。

 ほかに出馬を期待する声が出ているのは、シェロッド・ブラウン上院議員(66)=中西部オハイオ州選出=や、04年大統領選の民主党候補だったジョン・ケリー氏(75)、オバマ前政権の司法長官だったエリック・ホルダー氏(68)、元マサチューセッツ州知事のデュバル・パトリック氏(63)など。

 米紙ニューヨーク・タイムズによると、ブラウン氏やパトリック氏は友人や関係者から出馬を促す電話が相次いでいるという。

 ただ、民主党は前回大統領選の候補指名で一般の支持者から左派系のバーニー・サンダース上院議員(78)を推す声が強かったにもかかわらず、実質的に党指導部の意向を反映させる形でクリントン氏を候補に指名し、党の分裂状況を招いた経緯がある。

 前回大統領選での事態は民主党指導部がかつての掌握力を失っていることを示すもので、中道候補の擁立を狙った一連の工作が奏功するかは定かでない。

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